Re-Bear Project

2025/03/30 23:36

=作品説明=
巡る

何処かで誰かの手元にあった木彫りの熊を、私は自然の中で逞しく生きる熊へと生まれ変わらせた。

私は自然がありのまま生きる姿に魅了され、作品に落とし込んでいる。自然と共生していくこと、その中で生き抜く熊のありのまま生きる姿を、自然に溶け込んだ形で生まれ変わらせた。また、アイヌでは自然も生きものとして捉えるなど、全てのものに魂「カムイ」が宿っているという考えがある。私はこのアイヌの自然に対する考え方に尊敬の思いがあり、今回木彫りの熊と対峙するにあたって意識した。

背中部分に描かれている森林には真ん中に穴がある。これは自然界で言う"ギャップ"というもので、強風や老化により倒れてできてしまった穴であり、周りの木や若い木が育つことによって補い再生していくという、自然が生まれ変わるシンボルとなっている。これを木彫りの熊が生まれ変わる姿と共に照らし合わせた。

そこから生えている一本の木は、未来を象徴している。様々な形で巡り、新たに生まれ変わる象徴として、この熊もまた新たな地で巡っていく。

サイズ:W240mm D120mm H250mm
素材:アクリル、針金、糸、ミラーシート

=アーティスト紹介=
樺澤 滴

北海道札幌市出身。女子美術大学洋画専攻 2025年卒。 油彩、水彩によるドローイング、空間を用いたインスタレーションなど”自然”をテーマにありのまま生きる姿や、自身が自然を身近に感じてきた公園を通して人と自然の在り方や営みについて考えながら制作している。インスタレーションで用いる布は、自然がありのままに生きる様を写し出すものとして捉え、そのような自然に任せた行為に対して自らの手で描く・作る行為を加えることで自然との対話を試みている。 自然が多く自由な場所ほどそこでどのように過ごすかは一人一人に委ねられており、人が人間として還してくれるようなものを作っていきたい。



=作品画像=